片腕のピアニスト
左腕がちぎれそうだ。
すぐに左腕があるか確認したいけどなぜか頭が動かない。
ああ、痛い痛い。
目が、あか、な、、、い……………。
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あれから、数日経った。
目が覚めて病院にいる事を知った俺は、直ぐに看護婦さんにこう言ったらしい。
『……。………………
……………………俺は、何をしたんですか』
俺の部屋は個室らしく、その後長く続いた沈黙が痛かった。
それから、俺の主治医らしい、ちょっと胡散臭い白衣の似合うおっさんが入ってきて、全て説明された。
「君は、あの日交通事故を起こしたんだ。」
「……ああ、そうだろうな。
どうりで……
……………左手が動かない訳だ。」
白い奴らが息を詰まらせる。
今、座った状態で俺の左手はだらしなくだれている。
起きて気づいた。
指が……左手の指がうごかない。
罰だとおもった。
両親のいう事を聞かず、バイクを乗り回し、万引きをして、……
…挙げ句の果てに交通事故だァ?
どんだけ親不孝だよ。俺は。
こんな左手ぽっちで済むほどのことじゃなかったろ。
今まで俺がしてきたことは。
命をかけて返すぐらいで丁度よかったろ。
どうにもならない。
この左手は、
今さっき、俺が動かないことに気づいた瞬間からオモチャになった。
「……………怪我、……すか…」
「え、?ん?何かな??」
「怪我したの。……俺だけっすか。」
この言葉に、白衣はまたもや息を詰まらせた。
最後に見た人影。