親指姫な彼女と普通の俺
「さて… 贈り物かぁ」

坂をてくてく下りながら一人で考えていた
我が家にやってきた姫をどのように喜ばそうか

「俺 服なんて作れんしな~」

海斗のように器用ではない
自由な発想が得意な訳でもないので
頭の中をくるくるさせた

「なんか取り扱い説明書に載ってたりして」

ぱらりとなぜか持ち歩いている説明書を開くと

'妖精は甘いものが好き 楽しいことも好きなので遊んであげるのがよい'

「へぇ まともなことも載ってるんだね」

'失礼だぞ'

「ごめんごめん」

'妖精によるが 光り物が好きな者 臭い物が好きな者 そういう系が好きな者もいる'

(そういう系…って一体)

とにかく甘い物を買おうと思い
説明書の 《育てる 食事》を見た

'まぁ 基本的にお好みで'

やはり適当だったと
くすくす笑ってしまった

(そうだ いいこと考えたかも)

足早に坂を下りだす
その足は軽やかで、どこか楽しげだった























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