親指姫な彼女と普通の俺
夕食におかしなヘンバーでお鍋をつつく

美味しそうに豆腐を頬張る老人は
器用に三本の指で箸を使っていた
よく見ると皮膚は木のようにも見える

気を取り戻しテーブルに肘をついて
海斗が老人を見る

「おいジジイ なんでちゃっかり飯食ってんだ」

「いっ いいじゃろー! 美味しそうだったしさぁ」

まぁまぁと二人を落ち着かせて

「とにかくおじいちゃん いらっしゃい 妖精の種ありがとうね おかげでシュシュに会えたわけだし」

「そうですよね!私と太陽君を会わせてくれた方なんですよね!」

いやぁ と照れたようにクネクネ動いた
ふてくされたよう海斗はじろりとそれを睨む

(ってか 金儲けのためだったんだろうがよ)

「食べましょう!パーティーですね! あつっっ はふぅぅ!!」

「シュシュー!熱いよ~!」

「はっはっは 食いしん坊じゃなぁ~」

一人と妖精二人は楽しく笑い合っている

(溶け込んでやがる…ジジイ)

はぁと溜め息をついた
苦労人であった
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