生徒会長が私を好きな理由
「生徒会に入ってくれそうな奴はこっちでピックアップしといた。だがそれは後回にして今はここの掃除だ」

「後回し?」


その生徒達が誰なのか知らないけど…もうとっくに帰ってるんじゃないの?

それに掃除ってなに!?





「そこのロッカーにほうきが入ってるからお前は床を履け」

「あ、はい…」


色々と疑問が残る中、私は一柳くんと生徒会室の掃除をやった。30分程度の掃除だったの、物が少ないその部屋は一気にきれいになった。





「さっきとは大違い~」


ほうきを片付けながら部屋を見渡すと、とりあえず使えるくらいには復活。雑巾で床や机を拭いてくれた一柳くんのおかげだ。





「これ」


すると一柳くんが私にメモ用紙くらいの紙切れを差し出し受け取ると、そこには3名程の名前が縦に書いてあった。




「田村 良樹(たむら よしき)…小波 海音(さざなみ まりん)…本間 信太(ほんま しんた)?」


紙に書かれた3名の名前はどれも聞いた事も接した事もない人達ばかり。





「この3人を推薦するの?」

「ここに呼び出す」

「え?どうやって?」


多分もう学校にはいないから家まで行って呼び出すしかないじゃ…?それはいくらなんでも面倒くさいよ…






コンコン


その時突然生徒会室のドアをノックする音が聞こえ、ビクッと驚いた私はとっさにドアの方に目をやった。

そんな私とは対照的に一柳くんは涼しげな顔をして冷静だ。





「はい」



ガラ…


一柳くんがドアに向かって返事をすると、生徒会室にがっちりとした体格で黒いスーツを着た怖そうな男の人が入ってきた。




「ひぃっ」


その人は教室に入って来るなり私をギロリと見つめた後、一柳くんに目を向けニッコリと微笑む。





「坊ちゃん。3人共連れてきましたよん」

「ありがとう岩田(いわた)」


あれ?この人さっき私を睨みつけた顔とは全然違う表情してしかも口調が女性っぽい…

岩田…さん?って言ったけどこの人は一柳くんの何なんだろう…





「どうぞ入ってぇ~」


岩田さんが廊下に向かって声をかけると、ドアにひょこっと顔を出したのはまるでフランス人形のような顔立ちの女の子。





「うひょ~ここが生徒会室!?すごーいっっ」


その女の子は勢いよく教室に入ってくると、部屋中を走り回りながらキャッキャとはしゃぎ始めた。


こんな子…うちの学校にいたんだ。これだけ明るいなら目立ちそうだけど全然知らなかった。





「あー!もしかして副会長の亜香莉ちゃん!?」

「えっ…」


足にブレーキをかけたように止まり、私を見つけるとその女の子は目をクリクリさせながら私に近づいてきた。

身長は低いけどすごく華奢で顔はハーフのような綺麗な顔立ち。肌が白くて髪はふわふわのピンクベージュ色。本当にお人形さんのような子だなぁ。





「う、うん…副会長の日野亜香莉です」


“副会長”と自分で言うのは恥ずかしい…




「やっぱり~♪私は小波海音!ヨロシクね!!」

「よろしく…」


ぎゅっと熱い握手をされたけど…この子…よろしくって事は生徒会に入るつもり?
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