生徒会長が私を好きな理由
「ロ、ローズ…ですか?」

「私の事を岩田と呼んでいいのは坊ちゃんだけよ!あんたはローズとお呼び!」

「はい…」


岩田さん。改めローズさんの口調や雰囲気からして、多分オネエだと言う事はわかった。けれどそこにあえて触れるのは避けて私は一柳くんに気になった事を話しかける。




「一柳くんの家ってお金持ちなの?」


私の家に医者を呼んだり付き人らしき人がいたり…それに学校に車で来てるし。




「まあ…お前から見たらそうかもな」

「すごーい!」


こんなのアニメとか漫画の世界だけかと思ってたけど、本当にお金持ちの坊ちゃんて存在するのか!




「別に凄くなんかない。親がたまたま裕福だってだけだ。それよりこれを返す」

「なに?」


一柳くんがカバンから出したのは一冊の本で、差し出して来たその本を私は受け取った。




「本?」

「昨日お前の母親から借りた本だ。さっき返しそびれた」

「ああ!」


そういえば、昨日家でお母さんの本を読んでたような…




「いつでも良かったのに。ってゆうかもう読み終わったの?早くない?」

「面白くて1日で読み終わった」

「ふーん…」


本当に読書好きなんだなぁ。学校でもいつも本読んでるし…




「お前には失望する事が多いけどお前の母親の本のセンスはいい」

「失望って…ひどくない?」


本当に堂々と悪口言ってくるなこの人…





「本を借りた礼として家までくらいは送ってやってもいいかなと思っただけだ」

「…」


そう言って窓の外を眺める一柳くんに私はまたドキッとした。



きれいな横顔…性格に少々難があるかもしれないけど顔はかっこいいと思う。

悔しいけど…ドキドキしちゃうもん。





「生徒会の決まったメンバーどう思う?」

「え?」


窓の外から目をそらして、一柳くんは腕を組むと前を向いたまま口を開いた。




「すごくいいメンバーだと思うよ!よくあんないい子達ばかり集めたね…すごいよ」

「…あの学校は全員がやる気がないわけじゃない。お前がやる気なしグループにいるから全員がそうと決めつけているだけだ」

「そうだよね…」


そればかりは本当にそう思うよ。私…自分の周りしか見てなかった。





「見方を変えれば問題も変えられる」

「うん…私……あの3人よりも人として劣ってる所がたくさんあるけど自分なりに精一杯頑張るから!」


あのメンバーなら頑張れる気がしてきたよ!生徒会として…何より副会長として!





「…お前を副会長にして良かった」

「へ…?」


それってどういう…意味?

一柳くんのその一言で胸の鼓動がどんどん早くなる。






「副会長は一番責任がないからな」

「う…」


そういう問題!?ドキドキして損したわ!

てゆうか、それ昨日も言ってたし!





「あーそうですね!私に副会長はぴったりですよね」

「ハハ」


軽く鼻で笑う一柳くん。


あ、笑った…

笑ってるところ初めて見た…かも。





「あ?何見てんだ役立たず」

「いたた…」


手で拳を作って私の頭をグリグリしてくる一柳くん。
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