生徒会長が私を好きな理由
すると謝りながら生徒会室に入って来た一柳くんは、何やらたくさんの荷物を抱えていた。
「どこか行ってきたんですか?」
一柳くんの手荷物を見て眼鏡を持ち上げる本間くんは、なんだか興味津々。
「ああ。向こうの学校の方に用事があったから」
肩にかけていた大きなカバンを下ろすと、一柳くんは肩をコキコキと鳴らしながらそう言った。
「そういえば…一柳くんは学校を掛け持ちしているんでしたね。もう一つの学校はどこですか?」
本間くんは勉強を中断してシャーペンを机に置くと、一柳くんに問いかける。
一柳くんが元々いた高校かぁ。それは私も気になるかも…
「白百合清蘭学園」
「え!」
どうでも良さそうに答える一柳くんのその言葉に、本間くんはかなり驚いている。
「その高校どこー?」
「私も知らない」
海音と童子に首を傾げると、本間くんはやや興奮しながら答える。
「白百合清蘭学園を知らないんですか!?都内のトップのセレブが集まる学校ですよ!それだけじゃなく偏差値もかなり高い有名学園なんです!」
目をキラキラさせる本間くんに私と海音は「ふーん」と口をつぼめて軽い感じで聞く。
ちらっと一柳くんを見るとまるで興味がなさそうな顔をして、カバンから出したプリントに目を通している。
まだよく知らないけど一柳くんが結構なお金持ちだと言う事はなんとなく知ってるから、多分元いた学校はこの高校よりはいい所に通っているのは予想がついていたけれど…
勉強好きらしい本間くんがあれだけ興奮するくらいの学校に行ってるなんて…やっぱり一柳くんてすごいんだな。
すごいと同時に益々謎になってきてもいるし。前にも増して一柳くんの事気になるなぁ…
「バイバーイ!また明日ね~」
「じゃあねぇ」
その日の生徒会は夜の7時近くまでかかり、来月に迫った体育祭に向けての話し合いを行った。
部活から戻って来た田村くんを交えてたくさんの意見が出る中、なかなか決まらないまま時間だけが過ぎてとりあえずまた明日という事になり解散。
校門の前で海音達と別れた私は家に向かって歩き出したその時…
ブブ…
私のいるすぐ横の道路を見覚えのある車が止まり、それに気づいた私も足を止めた。
この高そうな黒い車は…一柳くんの車だとすぐにわかる。
そんな事を考えていると以前のようにまた車の後部座席の窓が開き、一柳くんが顔を出した。
「…乗れ」
「はい?」
素っ気なくそう一言だけ言うと、一柳くんはすぐ窓を閉める。
何なのよ本当に…このシュチュエーションは数日前に本を返してくれた時以来だけど…今度は何?
本を貸してるわけでもないし車に乗せてもらう理由もないけど、乗らなかったら怒るだろうから言う通りにしますよ…
「お邪魔します」
私は小走りで反対側に回り後部座席のドアを開けて車に乗り込むと、一柳くんはこちらを見ることもなくただ腕を組んで前を向いてた。
「どうかした?」
「送る」
「え?」
私が驚いたと同時に運転席にいるローズさんが車を走らせた。
「送るって…どうして?」
「借りた本の礼を後日改めてするって言っただろ。これが礼だ」
礼だって言われてもなぁ…
「そんなに気を使ってくれなくてもいいのに…たかが本を貸しただけだし」
送ってもらえるのは有難いけどなんだか申し訳ないよ。
「仕方ないだろう。これはお前の母親からのリクエストなんだから」
「…へ?どういうこと?」
「こないだお前の母親に本を借りた礼をしたいと連絡したら「お礼の代わりに亜香莉を毎日家まで送って欲しい」と頼まれた」
「そうなの?」
お母さんと一柳くんが裏でそんなやり取りをしてたなんて…
今朝だってお母さん何も言ってなかったけど、もしかして私の驚かす為にわざと言わなかったのかな?
「どこか行ってきたんですか?」
一柳くんの手荷物を見て眼鏡を持ち上げる本間くんは、なんだか興味津々。
「ああ。向こうの学校の方に用事があったから」
肩にかけていた大きなカバンを下ろすと、一柳くんは肩をコキコキと鳴らしながらそう言った。
「そういえば…一柳くんは学校を掛け持ちしているんでしたね。もう一つの学校はどこですか?」
本間くんは勉強を中断してシャーペンを机に置くと、一柳くんに問いかける。
一柳くんが元々いた高校かぁ。それは私も気になるかも…
「白百合清蘭学園」
「え!」
どうでも良さそうに答える一柳くんのその言葉に、本間くんはかなり驚いている。
「その高校どこー?」
「私も知らない」
海音と童子に首を傾げると、本間くんはやや興奮しながら答える。
「白百合清蘭学園を知らないんですか!?都内のトップのセレブが集まる学校ですよ!それだけじゃなく偏差値もかなり高い有名学園なんです!」
目をキラキラさせる本間くんに私と海音は「ふーん」と口をつぼめて軽い感じで聞く。
ちらっと一柳くんを見るとまるで興味がなさそうな顔をして、カバンから出したプリントに目を通している。
まだよく知らないけど一柳くんが結構なお金持ちだと言う事はなんとなく知ってるから、多分元いた学校はこの高校よりはいい所に通っているのは予想がついていたけれど…
勉強好きらしい本間くんがあれだけ興奮するくらいの学校に行ってるなんて…やっぱり一柳くんてすごいんだな。
すごいと同時に益々謎になってきてもいるし。前にも増して一柳くんの事気になるなぁ…
「バイバーイ!また明日ね~」
「じゃあねぇ」
その日の生徒会は夜の7時近くまでかかり、来月に迫った体育祭に向けての話し合いを行った。
部活から戻って来た田村くんを交えてたくさんの意見が出る中、なかなか決まらないまま時間だけが過ぎてとりあえずまた明日という事になり解散。
校門の前で海音達と別れた私は家に向かって歩き出したその時…
ブブ…
私のいるすぐ横の道路を見覚えのある車が止まり、それに気づいた私も足を止めた。
この高そうな黒い車は…一柳くんの車だとすぐにわかる。
そんな事を考えていると以前のようにまた車の後部座席の窓が開き、一柳くんが顔を出した。
「…乗れ」
「はい?」
素っ気なくそう一言だけ言うと、一柳くんはすぐ窓を閉める。
何なのよ本当に…このシュチュエーションは数日前に本を返してくれた時以来だけど…今度は何?
本を貸してるわけでもないし車に乗せてもらう理由もないけど、乗らなかったら怒るだろうから言う通りにしますよ…
「お邪魔します」
私は小走りで反対側に回り後部座席のドアを開けて車に乗り込むと、一柳くんはこちらを見ることもなくただ腕を組んで前を向いてた。
「どうかした?」
「送る」
「え?」
私が驚いたと同時に運転席にいるローズさんが車を走らせた。
「送るって…どうして?」
「借りた本の礼を後日改めてするって言っただろ。これが礼だ」
礼だって言われてもなぁ…
「そんなに気を使ってくれなくてもいいのに…たかが本を貸しただけだし」
送ってもらえるのは有難いけどなんだか申し訳ないよ。
「仕方ないだろう。これはお前の母親からのリクエストなんだから」
「…へ?どういうこと?」
「こないだお前の母親に本を借りた礼をしたいと連絡したら「お礼の代わりに亜香莉を毎日家まで送って欲しい」と頼まれた」
「そうなの?」
お母さんと一柳くんが裏でそんなやり取りをしてたなんて…
今朝だってお母さん何も言ってなかったけど、もしかして私の驚かす為にわざと言わなかったのかな?