生徒会長が私を好きな理由
私達が生徒会室を使いやすいようにしてくれてる…まさに生徒会長って感じだな。

学校を掛け持ちしながら生徒会の仕事もやってきっと毎日忙しいよね?私にも何か出来ることないかな…





「…日野。聞いてんのか」

「え、痛っ」


ぼーっと考え事をしていたら、一柳くんに持っている資料で頭を叩かれる私。





「ごめん!聞いてなかった」

「これを生徒会の人数分コピーしてきてくれ」


一柳くんは机に肘をつきながら、体育祭の提案書を私に差し出した。




「わかった」

「それくらいは出来るだろ」

「で、出来ますよ!」


一柳くんから資料を奪い取るよりに力強く掴み、私は椅子から立ち上がると生徒会室のドアを勢いよく開けた。




ガラ…


「あっ…」


ドアを開けると生徒会室の前に見慣れない制服を着た女子が立っていて、ちょうどドアを開けようとしていたみたいだった。鉢合わせ状態になった私とその女子はお互いびっくりした顔をする。




「こんにちは」

「こん…にちは」


私にニコッと微笑むその女の子は、すごく綺麗な人で大人っぽい雰囲気。

もしかして先輩?でもうちの学校の制服着てないし…





「あのぉ…一柳悠生さんはいらっしゃいます?」

「えっ…ああ、はい」


この人一柳くんを訪ねてきたの?

一体誰なんだろう…





「…九条(くじょう)」

「あ、悠生!」


すると訪ねて来た女の子に気づいた一柳くんが、私達のいるドアの方に近づいて来た。


今一柳くんのこと「悠生」って言った?2人はどんな関係…??





「ここが悠生の掛け持ちしてる学校の生徒会?すごくいい所ね」

「まあな…それよりどうしたんだ?」

「ああ!さっきこれを忘れてたから届けに来たの。クラブの論文の資料」


高そうな革製のカバンから、ファイルに挟まった資料を一柳くんに差し出す九条さん。





「…悪い。忘れてた」

「こっちの学校に来てからうちの学園の事後回しにし過ぎてない?悠生は白百合清蘭学園の生徒でここにはお手伝いに来てるだけなんだからね?」


口をつぼめながら一柳くんに言う九条さんを見て、私は若干イライラしていた。


この人…私達を前にして遠回しに失礼なこと言ってない?

たとえそう思ってたとしても、あえてここで言わなくてもいいと思うんだけど…
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