生徒会長が私を好きな理由
「九条の事だよ。あいつ注意したのにまたつくば高校に来たりして…」

「ああ全然!気にしてないよ」


本当はかなり気にしていた私だが、手を払うように振ってごく自然な笑顔を返した。






「あいつにも困ったものだな。何で俺の掛け持ちの高校なんかにわざわざ足を運ぶんだか」

「…」


この人…九条さんが自分の事好きだってこと気づいてないの?もしかしてそっち系鈍い?




「迷惑もいいとこだ」


ため息混じりに言うと、一柳くんは外に雑に置かれた道具を持ち上げて体育倉庫にしまい始めた。


私がそこまで傷つかなくて済むのは、一柳くんの気持ちがまだ九条さんに向いていないってわかるから…

これで一柳くんもまんざらでもない感じなら、さすがに落ち込んでる所だ。





「よぃっと…」


近くにあるコーンを持ち上げて体育倉庫に入ろうとしたら、ちょうど一柳くんが出てきて私をじっと見てくる。





「だるまが赤いコーン持ってる」


カシャッ


そしてまた自分のスマホで私を写真に撮った。


もう怒る気力さえない…色んな人から笑われたしもう好きにしてください。





「重いやつは俺が運ぶからお前は小さいの運べよ」

「うん…」


スマホをポケットにしまうと、一柳くんはコーンを2つ両手に持ってさり気なくそう言った。私はドキッとしてもじもじしながら返信をする。





「重い物運ばせてだるまに転ばれても困るしな」

「一言余計っ!」


上げて落とされるのこれで何回目?優しくしてくれたのは嬉しいけど…






「会長ーー!亜香莉ーー!」


しばらくすると海音が私達を呼びに来て、ちょうど道具を全て片付け終わり午後に使う道具と入れ替えた所だった。





「もうすぐで午前の部が終わるよ~2人共作業が終わったら本部に集まって!」

「わかった!もう終わったから行くね」


本部へ向かうと午前の部は終了して昼休みになった。生徒達は一旦教室に入りそれぞれ昼食を取る。






「亜香莉~お昼行こ♪」


テント下の本部にいる私に泉と由愛が手を振りながら声をかけて来る。

少しの間だったけど一柳くんと一緒にいられた事が嬉しくてご機嫌な私は、元気に返事をしようと思ったら…





「ねえ…良かったらお昼は生徒会のメンバーで食べない?実はお弁当多く作りすぎちゃって…皆でシェアしようよ♪」


ウキウキしたように海音が言うと、生徒会のメンバーは皆キョトンとする。
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