生徒会長が私を好きな理由
「この中身何?」
「鮭だよ?正確には鮭フレークだけど」
「初めて食べた」
ですよね…裕福な家庭からすれば鮭フレークなんて何のことやらですよね。
「でも上手いよ」
また褒められた…嬉しい。
「もう1個くれ」
「あ!」
「今度はちゃんと断った」
「う…どうぞ」
私のお弁当がおかずだけになっちゃった…
「亜香莉は私の食べてね♪はい」
「ありがとう」
海音が紙皿に自分のお弁当のおかずとおにぎりを乗せて、私に差し出してくれる。
そっか。今日はシェアするんだったね…
「良かったね」
小声で私に耳打ちすると、海音は皆に気づかれないようにウィンクした。私はおにぎりを口に頬張ってうつむきながら顔を赤くして照れるしかない。
些細な事なのにこんなに嬉しいなんて…恋ってすごいな。今まで気づかなかったよ…
「日野。お前の玉子焼き甘過ぎだ」
「…」
小姑のように半分食べた玉子焼きを、箸でつまんで私に見せてくる一柳くんに私は苦笑い。生徒会室は笑いに包まれ持ち寄ったお弁当はほとんど無くなった。
生徒会のメンバーの仲がまた深まった気がした。
「今年の優勝は…………………………………………白組の圧勝でーす!!!!」
うわぁぁぁぁああ…!!!
夕方。午後の競技を終えて閉会式になり、優勝の組が発表され赤組は敗退。白組は今日一番の盛り上がりで、代表して校長からトロフィーを受け取ったのは一柳くん。女子達からキャーキャー言われていた。
「残念だったね」
負けた赤組は罰ゲーム決定。全員で居残りして体育祭の後片付け。コスプレを脱いだ私と泉はジャージに着替えて再び校庭へ…
「待って~」
下駄箱で靴を履き替えていると、ジャージ姿の由愛が私達に駆け寄って来る。
「帰ったんじゃなかったの?」
「私も手伝うよ!1人で待っててもつまんないしさ」
「えらい!」
由愛は得意げな顔して靴を履き替えた後、私達は3人で校庭に向かった。
グラウンドに並べられた椅子を片付けている生徒や小物を運ぶ生徒が見受けられる中、各組の看板を下ろす生徒が足りないようだったので私達はそこに足を向けると…
「日野」
「一柳くん?」
後ろから声かけられて振り返ると、そこにはジャージを着た一柳くんの姿が。それを見た泉と由愛は「先に行くねー」と謝る隙もない位の速さで逃げるように走って行った。
「どうしたの?もう帰ったかと思ってた」
「生徒会長なのにさすがにそれは出来ない。それに気になるから俺も残ることにした」
そう言ってジャージの腕をまくる一柳くんは、グラウンドをざっと見渡して生徒達の作業に目を向けていた。
一柳くんて…いい人なんだか意地悪なんだかわからないないな…
だけど今日は一柳くんの事少しは知れた気がする…
「俺達はテントの中の物片付けるぞ。グズグズすんなよ」
「はいはい」
人使いが荒いのと一言多いのがたまに傷。でもそれが一柳くんなんだね…
「なんかさー今年の体育祭意外と楽しかったよね」
「うん!来年はどんなコスプレだろー今から楽しみっ」
「次は絶対勝つぞー!」
テント下のパイプ椅子を畳んでいると、通りすがりの生徒達からそんな声が聞こえてきて、私と一柳くんは手を止めて顔を見わせる。
「成功したみたいだな」
「うん!嬉しい!!」
あんなに嫌がっていたのに、体育祭が終わった今笑顔になっている生徒がいてくれたって事は…私達の努力は少しは報われたのかな。
嬉しいな…なんかちょっと泣きそうだよ。
「お疲れ」
すると一柳くんは優しく微笑むと、私に手を差し伸べて拳を握りしめる。私も同じように手を握りしめると一柳くんの拳にコツンと当てた。
それと…
ちょっとだけ一柳くんと近づけたかな。
「鮭だよ?正確には鮭フレークだけど」
「初めて食べた」
ですよね…裕福な家庭からすれば鮭フレークなんて何のことやらですよね。
「でも上手いよ」
また褒められた…嬉しい。
「もう1個くれ」
「あ!」
「今度はちゃんと断った」
「う…どうぞ」
私のお弁当がおかずだけになっちゃった…
「亜香莉は私の食べてね♪はい」
「ありがとう」
海音が紙皿に自分のお弁当のおかずとおにぎりを乗せて、私に差し出してくれる。
そっか。今日はシェアするんだったね…
「良かったね」
小声で私に耳打ちすると、海音は皆に気づかれないようにウィンクした。私はおにぎりを口に頬張ってうつむきながら顔を赤くして照れるしかない。
些細な事なのにこんなに嬉しいなんて…恋ってすごいな。今まで気づかなかったよ…
「日野。お前の玉子焼き甘過ぎだ」
「…」
小姑のように半分食べた玉子焼きを、箸でつまんで私に見せてくる一柳くんに私は苦笑い。生徒会室は笑いに包まれ持ち寄ったお弁当はほとんど無くなった。
生徒会のメンバーの仲がまた深まった気がした。
「今年の優勝は…………………………………………白組の圧勝でーす!!!!」
うわぁぁぁぁああ…!!!
夕方。午後の競技を終えて閉会式になり、優勝の組が発表され赤組は敗退。白組は今日一番の盛り上がりで、代表して校長からトロフィーを受け取ったのは一柳くん。女子達からキャーキャー言われていた。
「残念だったね」
負けた赤組は罰ゲーム決定。全員で居残りして体育祭の後片付け。コスプレを脱いだ私と泉はジャージに着替えて再び校庭へ…
「待って~」
下駄箱で靴を履き替えていると、ジャージ姿の由愛が私達に駆け寄って来る。
「帰ったんじゃなかったの?」
「私も手伝うよ!1人で待っててもつまんないしさ」
「えらい!」
由愛は得意げな顔して靴を履き替えた後、私達は3人で校庭に向かった。
グラウンドに並べられた椅子を片付けている生徒や小物を運ぶ生徒が見受けられる中、各組の看板を下ろす生徒が足りないようだったので私達はそこに足を向けると…
「日野」
「一柳くん?」
後ろから声かけられて振り返ると、そこにはジャージを着た一柳くんの姿が。それを見た泉と由愛は「先に行くねー」と謝る隙もない位の速さで逃げるように走って行った。
「どうしたの?もう帰ったかと思ってた」
「生徒会長なのにさすがにそれは出来ない。それに気になるから俺も残ることにした」
そう言ってジャージの腕をまくる一柳くんは、グラウンドをざっと見渡して生徒達の作業に目を向けていた。
一柳くんて…いい人なんだか意地悪なんだかわからないないな…
だけど今日は一柳くんの事少しは知れた気がする…
「俺達はテントの中の物片付けるぞ。グズグズすんなよ」
「はいはい」
人使いが荒いのと一言多いのがたまに傷。でもそれが一柳くんなんだね…
「なんかさー今年の体育祭意外と楽しかったよね」
「うん!来年はどんなコスプレだろー今から楽しみっ」
「次は絶対勝つぞー!」
テント下のパイプ椅子を畳んでいると、通りすがりの生徒達からそんな声が聞こえてきて、私と一柳くんは手を止めて顔を見わせる。
「成功したみたいだな」
「うん!嬉しい!!」
あんなに嫌がっていたのに、体育祭が終わった今笑顔になっている生徒がいてくれたって事は…私達の努力は少しは報われたのかな。
嬉しいな…なんかちょっと泣きそうだよ。
「お疲れ」
すると一柳くんは優しく微笑むと、私に手を差し伸べて拳を握りしめる。私も同じように手を握りしめると一柳くんの拳にコツンと当てた。
それと…
ちょっとだけ一柳くんと近づけたかな。