生徒会長が私を好きな理由
「俺もそう思うが、会長がテスト期間だけ不在だとおかしく思われるだろ。それに白学のテストに至っては俺だけ特別に個別でやる事になっているから、わざわざ向こうまでテストを受けに行く必要ないんだ」


ふーん。テストを2回受けなくちゃ行けない事には変わりないけど割と自由にやってるんだな…

内心で一柳くんが元いた学校に行かないと聞いてホッとしていた。もしテスト期間中に白学に行くとしたら数日は会えないかもだし…







ブォォォーン…



「勉強しなくていいなんて羨ましいよ」


その日の帰り道。私は一柳くんの車で送ってもらい、家に着くまでの間に話す会話はやはりテストの話。車内での一柳くんとの触れ合いはもう割と慣れつつあって、普通に話せるくらいにはなってきた。




「勉強しなくていいのはつくば高校のテストだけで白学のはやってるって言っただろ」

「でも学校ではやってないってことは結構余裕って事でしょ?」


今だっていつも通り本を片手にしてるから、テスト前だからって切羽詰って勉強してる感じしないし。




「勉強は家でやっている。つくば高校に来てまで勉強なんかしたくない…あそこはあくまでも生徒会と学校の事を考える所だ」


本を読みながら言う一柳くんは足を組み直してそう言った。

やっぱり…一柳くんにとってのつくば高校は理事長からのただの頼まれごとに過ぎないもので…自分の高校は所詮白学なんだな。元々いた学校だからそう思っても仕方が無いことだけど、ちょっと寂しいよ。





「着きましたよ♪」

「ありがとうございました!」


すると車は私の家のアパートに停車して、私は車から降りると素早く一柳くんの乗っている方へ回り込む。

いつも思うけど、家に着くまで一瞬だな。ま、少しでも一緒にいられるだけで幸せなんだけどさ…





「これ」

「ぉっとっとっ…」


ズシッ


一柳くんが窓を開けると、紙袋いっぱいに入った何やらすごく重いものを突然私に手渡して来た。




「な、何これ??」

「俺の家にあった本だ。陽(ひかり)さんから貸してと言われた」

「え?」


「陽さん」とは私のお母さんの名前で、最近までは「お前の母親」呼ばわりだったのにいつの間にか名前で読んでいる一柳くんに驚いた。

本を貸し借りしているなんてお母さんからも聞いてないけど?この2人…裏でどんだけ連絡取り合ってんのよ?も、もしかして…





「一柳くんて年上の女性好きなの?」

「…は?」


純粋に本好きな2人が世代を超えて楽しんでいた裏には、実は恋愛が絡んでいたってこと!?

ってことは、もしかしたら一柳くんとお母さんが付き合うって展開もあり?それはさすがにダメージが大きいよ…





「くだらない事言ってるとその荷物を家まで持たせるぞ」


呆れたような口調で言うと一柳くんが外に出てきて、私の持っていた紙袋を軽々と持ってくれた。





「どうして降りるの?」

「陽さんが好きな時に本を借りに来てもいいと言っていた。お前に頼んで家に入らせてもらえって」

「ええっ!?」


そんな約束まで!?それは私としては嬉しい限りですっ!





「何か用事があるから後日出直すけど…」

「ないない!何にもない!!」


あったとしても「ない!」と言い切りますよ今日は!目的はなんであれうちに一柳くんが来るなんて嬉しい♪
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