生徒会長が私を好きな理由
てっきり生徒会のメンバーの誰かだと思っていた私は、突然の九条さんの登場にすごく驚き彼女をまじまじと見てしまう。
九条さんの着ている白学の制服は夏服に変わっていて、初めて会った時に着ていた冬服とは違い随分身軽になっている。長い髪の毛は一つに束ねていて、体育祭の時よりもまた印象が違って見えた。
「あ、の…一柳くんなら………」
「ううん~違うの。今日はあなたに用があって来たのよ♪名前は…確か日野さんだったわよね?」
九条さんは生徒会室のドアを閉めるとこっちに近づいて来て、窓側に置かれているソファーに腰をかけて足を組んだ。
このソファーはよく昼寝をする田村くんの為に一柳くんが用意した物で、他のメンバーもよく利用する物。生徒会以外の人が座るとなんだか変な感じがする。
「ねぇ~…そろそろうちの悠生返してくれない?もう充分でしょ??」
鼻につくような声と語尾を伸ばす口調で、九条さんは自分の爪をいじりながらそう言った。
何を言い出すと思ったら…この人は何言ってるの?
「悠生がいない白学なんて…私にしてみればすごく苦痛でしかないのよ。ね?お願い」
「…でも……私にはどうする事も出来ないし…」
「ごまかさないでよ。悠生の事好きなんでしょ?」
鋭い口調と目線を私に送る九条さんはすぐにニコッと微笑んだが、それが逆に怖くて胸がチクっと傷んだ。
「そりゃあそうよね~この学校のレベルじゃ悠生を見たら一目で好きになっちゃうわよ。あなただけじゃなく…他にも悠生の事好きな子なんて数え切れない程いるでしょ?でもそんなの夢よ。レベルが違うんだから」
ふんっと鼻で笑って小馬鹿にしたような顔をする九条さんに、私は顔をしかめた。何でこの子にそんなこと言われなきゃいけないの?
「だからさぁ~あなたから悠生にちらっと白学に戻るように説得してみてよ。あなた副会長なんでしょ?」
「だけどそっちの学校の理事長からの指示だからそんなこと私には…」
「だったらあんたが会長にでも何でもなればいいだろうがっ」
イライラしたように声を荒らげる九条さんは、今までのおしとやかな女子ではなく完全に別人になっていた。可愛らしい話し方もどこかへ行きこれがこの子の本性なんだと気づく…
ガラガラ…
するとドアが開く音がして後ろを振り返ると、険しい顔をした海音が立って九条さんを睨んでいた。九条さんはすぐに表紙を変えるとまたニコニコした顔に戻る。
「ここは関係者以外立ち入り禁止だけど?」
「あらそうなの?知らなかった~ごめんなさい!」
海音に愛想を振りまく九条さんは、オホホホとごまかすように笑う。
「悪いけど全部聞いたから」
冷静に言い放つ海音の言葉を聞くと、九条さんは真顔になり面倒くさそうにソファーから立ち上がった。
「悠生に全部言えば?言ったとしても絶対に白学に連れ戻してみせる」
九条さんは強い口調でそう言うと、私達にふんと言って生徒会室から出て行った。張り詰めていた空気が解けて肩の力が抜けた。
九条さんの着ている白学の制服は夏服に変わっていて、初めて会った時に着ていた冬服とは違い随分身軽になっている。長い髪の毛は一つに束ねていて、体育祭の時よりもまた印象が違って見えた。
「あ、の…一柳くんなら………」
「ううん~違うの。今日はあなたに用があって来たのよ♪名前は…確か日野さんだったわよね?」
九条さんは生徒会室のドアを閉めるとこっちに近づいて来て、窓側に置かれているソファーに腰をかけて足を組んだ。
このソファーはよく昼寝をする田村くんの為に一柳くんが用意した物で、他のメンバーもよく利用する物。生徒会以外の人が座るとなんだか変な感じがする。
「ねぇ~…そろそろうちの悠生返してくれない?もう充分でしょ??」
鼻につくような声と語尾を伸ばす口調で、九条さんは自分の爪をいじりながらそう言った。
何を言い出すと思ったら…この人は何言ってるの?
「悠生がいない白学なんて…私にしてみればすごく苦痛でしかないのよ。ね?お願い」
「…でも……私にはどうする事も出来ないし…」
「ごまかさないでよ。悠生の事好きなんでしょ?」
鋭い口調と目線を私に送る九条さんはすぐにニコッと微笑んだが、それが逆に怖くて胸がチクっと傷んだ。
「そりゃあそうよね~この学校のレベルじゃ悠生を見たら一目で好きになっちゃうわよ。あなただけじゃなく…他にも悠生の事好きな子なんて数え切れない程いるでしょ?でもそんなの夢よ。レベルが違うんだから」
ふんっと鼻で笑って小馬鹿にしたような顔をする九条さんに、私は顔をしかめた。何でこの子にそんなこと言われなきゃいけないの?
「だからさぁ~あなたから悠生にちらっと白学に戻るように説得してみてよ。あなた副会長なんでしょ?」
「だけどそっちの学校の理事長からの指示だからそんなこと私には…」
「だったらあんたが会長にでも何でもなればいいだろうがっ」
イライラしたように声を荒らげる九条さんは、今までのおしとやかな女子ではなく完全に別人になっていた。可愛らしい話し方もどこかへ行きこれがこの子の本性なんだと気づく…
ガラガラ…
するとドアが開く音がして後ろを振り返ると、険しい顔をした海音が立って九条さんを睨んでいた。九条さんはすぐに表紙を変えるとまたニコニコした顔に戻る。
「ここは関係者以外立ち入り禁止だけど?」
「あらそうなの?知らなかった~ごめんなさい!」
海音に愛想を振りまく九条さんは、オホホホとごまかすように笑う。
「悪いけど全部聞いたから」
冷静に言い放つ海音の言葉を聞くと、九条さんは真顔になり面倒くさそうにソファーから立ち上がった。
「悠生に全部言えば?言ったとしても絶対に白学に連れ戻してみせる」
九条さんは強い口調でそう言うと、私達にふんと言って生徒会室から出て行った。張り詰めていた空気が解けて肩の力が抜けた。