生徒会長が私を好きな理由
一柳くんの顔をこんな近くで、しかもちゃんと見るのは初めてで整った顔立ちにみとれてしまった。


きれいな肌だな…

私よりもきれいなんじゃない?

それにまつ毛長いな…羨ましい…

鼻もスッとしてるし芸能人並にかっこいい。





「お前の母親は弁護士なんだって?さっき電話で話した時にそんな事を言っていた」


一柳くんに話しかけれて一瞬ドキッとしながら、私は緊張しながら答えた。




「あ、うん…そうなの」


うわ…ドキドキする~

しかもスッピン&部屋着だから恥ずかしいよ…




「お前の母親は勉強熱心なんだな。読んでいる本のジャンルが様々だし…しかもどれもなかなか面白い」

「…あれ?それってお母さんの本か。気が付かなかった」


一柳くんが読んでいたのはお母さんの私物の本。お母さんは昔から読書家で、部屋には大きな本棚にぎっしりと本が並べられている。





「一応お前の母親には了承済み。だから勝手に読んでる訳じゃないからな」

「う、うん」


私のお母さんの本が気に入ってる…それに看病までしてもらってすごく縁を感じるのは私だけかな…?

これって…もしかして初恋の予感!?

泉と由愛の仲間入りの日もそう遠くはないかも!





「まあ、そんなことは置いておいて。お前に聞いてもらいたい事があるんだが」

「へ…?」


パタンと本を閉じると、一柳くんは立ち上がり私にゆっくりと近づいて来る。




え、何…

聞いてもらいたい事って…





「お前にしか頼めない事だ」


一柳くんはどんどんこっちに近づいて来て、ついに壁に追い込まれた私。

こんなに男子と急接近するのは初めて、今にも心臓が飛び出そうだ。


こんな近い距離まで来るってことは…そういうことだよね?

もしかして…キスされる!?





「え、あのっ、そのっっ…まだ出会って間もないし…だからっ」


こんな展開ヤバすぎるでしょ!

今まで恋に縁のなかった私が、急にこんな幸せが訪れるなんてある??









「…何勘違いしてんだ。こっちは暇じゃないんだからふざけるのはやめろ」



え…




一柳くんは冷静かつ冷たい口調でそう言うと、面倒くさそうな顔をした。


私は天国から地獄に行ったような気分を味わっている途中で、今はまだ声が出ない…

そんな私の事なんか気にも止めずに、一柳くんは続ける。






「単刀直入に言う。生徒会に入ってくれ」

「…は?」


天国から地獄に突き落とされた後は、頭の中にはてなマークが無数に並ぶ。





「生徒会…?」

「そうだ。うちの学校には生徒会がいなくて、イベント事が全然盛り上がってないらしいな」


イベントが盛り上がらないのは、生徒会がいないからなのかな?

まあ、みんなやる気がないから盛り上がってないのは確かだけど…





「生徒会がいないなんて…有り得ないな」

「…だろうね」

「先生から聞いた話だと、前の卒業生が色々やらかしたあと様々な事が禁止になったせいで生徒達がやる気をなくし、生徒会に入る生徒すらいなくなったとか」


へえ。そんな理由だったんだ…

知らなかった。





「俺はこの学校の活気を戻す為に、元々いた学校の理事長から頼まれて転校して来たんだ」

「え!?そーなの?」

「ああ、だから嫌でもやらなきゃならないんだよ。本当はこんな事やりたくないけど、断ったら留年て理事長に脅されたから仕方無くこんな役を…」


眉をしかめる一柳くんは、本当に嫌なのかすごくイライラしている様子だった。






「どうして理事長にそんなこと頼まれたの…?」


うちの学校の理事長ならともかく、元々一柳くんがいた学校の理事長から頼まれるって…ちょっと不思議だけど。





「詳しくは知らないけど…ちらっと聞いたのは、理事長がここの学校の校長に世話になったからとか言ってた」

「ふーん…」
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