生徒会長が私を好きな理由
あーあ、とうとう言っちゃった。

こんな無計画に告白するつもりなんてなかったのにな…どうせするならもっとロマンチックにしたかった。





「あんたが好きだから…好きだからここまでしてんのっ!好きじゃなかったらしないって!本当鈍感!!」


私はエプロンを悠生に投げつけて、自分のバックを持つと最後に捨て台詞を吐いた。ここまで来たらもうどうにでもなれ!




「でももう忘れてくれていいよ…あんたを好きなんてもう過去だから」

「…亜香莉!」


その言葉を口にして玄関まで走ってサンダルを吐くと、さすがに涙が出てきた。私は走りながら涙を拭いてエレベーターまで急ぐ…



悲しかったんだよ。

私の悠生への気持ちが…くだらないって言われた気がしたから…


こんなに好きなのに…








「あーら♪ヒドイ顔」

「きゃっ」


するとエレベーターの前には、ローズさんが立っていてまるで私を待っていたように近づいて来る。私が驚いて足を止めると、ローズさんはエレベーターのボタンを押しすぐに扉が開く。





「乗りなさいよ」

「…はい」


言われた通りエレベーターに乗り込むと扉が閉まり、悠生の部屋の次の階に着くと止まってまた扉が開いた。




「何してるの?早く来なさい」


エレベーターから降りるローズさんは、こっちを振り返ると鋭い目つきをしながら言う。




「え…いやでも私が降りるのは一階ですし」

「いいから降りなさいよ。ちょっと顔貸して」


顔貸してって…!何されるの!?

断ると怖いので私は素直にエレベーターを降りた。するとローズさんはその階の角部屋のドアを開けた。





「ここは私の家よ。入りなさい」

「は、はい」


入るとリビングに廊下を抜けて通された。そこは悠生の家半分くらいの広さ部屋だったが、充分広いしきちんと片付けてありちゃんと生活感があった。





「アイスティーでいいかしら?」

「はい…」


キッチン横のテーブルに腰掛けると、ローズさんはおしゃれなグラスにアイスティーを入れてくれてお礼を言う。

それを飲みながら今さっき自らフラれ泣いた私は、腫れている目をそっと触るとまた泣きそうになった。




「見事にフラれたわね」


私の目の前に座るローズさんは、カクテルのグラスを手に持っていて一口飲んだ。




「…どうして知ってるんですか?」

「盗聴器で聴いてたからよ」

「えっ!」


盗聴器!?ってことはローズさんに私達の会話全部筒抜け!!?



「いつもとは違う雰囲気だったから、彼とこの部屋で会ってたんだけど帰って貰ってあんたを待ってたってわけ」

「そうでしたか…」


ローズさんに聞かれていたと知って驚いてはいるが、それよりもフラれた事の方がショックでそんなに突っ込めない自分がいる。





「坊ちゃんは特殊だからね…落とすのは相当難しいわよ?」
< 64 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop