生徒会長が私を好きな理由
「じゃあね~」

「また明日」


夕方、生徒会が終わり私は門で海音達と別れると家に向かって歩き始めた。いつものように先に生徒会室を出ていった悠生の乗った車は、今日は校門で私を待っててはくれなかった。

時刻はまだ4時過ぎだし…1人で帰れない時間ではないけどやっぱり傷つく。

悠生も私が告白なんかしたから気まづくなって避けているのかな?


「はぁぁ」と大きなため息をついた私は、とぼとぼと家に帰った。






「ただいま…」

「おかえりー♪」


家のドアを開けるとエプロン姿のお母さんが出迎えてくれて、キッチンからは何やらいい匂いがする。



「もう夕飯の準備?早くない?」

「今日は久しぶりの休みだし、それに今夜はお客様がいるから張り切っちゃった」

「お客様?」


玄関で靴を脱いで家に入り、お母さんの言葉に首をかしげつつリビングに目を向けるとそこには…





「…お帰り」

「えええっ!」


悠生が私の家のリビングでくつろぎながら本を読んでいた。びっくりした私は思わず大声を出してしまう。




「な、何してんの!?」

「読書」

「そーじゃなくて!」


何でここにいるのかって聞いてるんですけど!




「今日の夕食は悠生くんを招待したのよ~いつも亜香莉がお世話になってるし」


お母さんは私の後ろから抱きつくと、嬉しそうに笑って言った。


お客様って悠生のことだったの…ってゆーか玄関に男用の靴あったかな?ぼーっとしてたからちゃんと見なかったよ…




「悠生くんね…今日は付き人の方が私用で留守なんですって。さっき貸してた本をうちまでわざわざ返しに来てくれた時にそう聞いて、夕食は1人だっていうからそれならうちで是非って誘ったのよ♪」
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