生徒会長が私を好きな理由
そうだったの…なら悠生は今日は車じゃなく歩いて帰る予定だったのね。門に車がなかったのはそのせいか…

それだったら一言言ってくれれば良かったのにな。やっぱり避けられてるんだ私…





「亜香莉も料理の支度手伝ってねー」

「うん…着替えて来るよ」


リビングの隣の自分の部屋に入る途中にちらっと悠生を見たら、表情を変えずにただ本を読んでいた。


好きな人が自分の家にいること自体すごく嬉しいことなのに、私の心は沈んでいた。

今の私達には距離が有りすぎる…告白なんてするんじゃなかった。時間が戻ればいいのにな…





「さぁ~遠慮しないでどんどん食べてね~」


お母さんと2人で作った普段よりも豪華な料理がテーブルに並び悠生と向かい合って座る私。小皿に料理を小分けするお母さんの手を動かす音が部屋に響き、テレビの内容が耳につく。



気まづい雰囲気…

悠生は何を考えてるんだろう。どうしてうちになんて来たの?誘ったのはお母さんだけど…私との間に距離があるのに一緒に食事するなんて嫌じゃないのかな。


料理を食べながらチラチラと悠生を見ていたけど、一度も目の合うこともなく時間は過ぎていった。

悠生は料理を全て残さず食べ、食べ終わると「ごちそうさまでした」と丁寧に手を合わせていた。
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