生徒会長が私を好きな理由
「今日はありがとうございました。美味しかったです」


夜の9時過ぎ。帰る悠生を私はお母さんと玄関先で見送る。


特に何も話せなかったな…せっかく悠生が家に来てくれたのにどう接したらいいのかわからない。

私ってめんどくさい女…





「亜香莉。悪いんだけど、悠生くん送るついでに下の自販機でお母さんの好きなカフェオレ買ってきてくれない?」

「えー…自分で買ってくればい……いたっ」


お母さんは私の背中の肉をつまみ、ちらっと目を向けると悠生に気づかれないように一瞬ウィンクした。

もしかして…お母さんは私と悠生の気まづい距離に気づいてる?





「ほら!いーから行って!」

「…わかったよ」


お母さんに背中を押された私は、渋々靴を履いて悠生と一緒に外に出る。先にアパートの階段をゆっくりと降りると後ろから悠生も私について来る。





「…明日も学校なのに遅くまで悪いね」

「別にいい。こっちも遅くまで悪かった」


勇気を出して自分から話しかけてみたけど、以前のような2人には戻れない。告白なんてしなければよかったと本気で後悔する…





「ごめんね…じゃあ…私ここでカフェオレ買わなきゃ。また明日」


階段を降りたところでアパートの目の前の自販機を指差した私は、悠生に軽く手を振った。
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