生徒会長が私を好きな理由
「家まで送る」

「え…いいよ。すぐそこ…てゆうか目の前だし」


見送りに来たのに私がまた送ってもらうなんて、なんか変だし。





「送る…」

「大丈夫…」


カフェオレを買いその場から逃げるように立ち去ろうとしたら、悠生に手首を掴まれて引き止められた。

人通りの少ない夜の住宅街の街頭下、私と悠生は動きをピタリと止めてお互い何も話さない。私は悠生に手を掴まれたまま、金縛りにあったように動けないでいた。



これはチャンスなのかな…

悠生に告白してからずっと言いたかったことを今言うべきなの…?






「…この間はごめんなさい。突然告白なんかして勝手に怒って帰って…しかも新学期になってから避けたりして子供っぽい真似した…」


やっと言えた…というか……やっと悠生とちゃんと話せた気がする。

私がずっと気まずいと思っていたのは告白してフラレたことよりも、悠生にひどい態度を取ったからだったんだ。

謝って少しスッキリしてる…






「夏休み中…ずっとお前のことを考えてた」

「え…」


悠生の声は微かに震えていて、表情を見ようとしても私から顔を背けていて見えない。



私はいまいち悠生の言葉が頭に入って来ない為、まだ頭の中は真っ白…

悠生の握る手の温もりだけが微かに伝わってくる。
< 72 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop