生徒会長が私を好きな理由
ざわざわ



「すごい人…」


パーティールームに入ると、ゴージャスなドレスやタキシードを着た白学の生徒達で賑わっていた。

私と悠生の登場で近くにいる生徒がジロジロとこっちを見てくる。横や後ろを振り返ると悠生のSP達がいるから、今日は何かされる心配はないけど以前の事がある為どこか構えてしまう自分がいる。






「何か食べるか?」


悠生が指さした先にフロアの隅にある長いテーブルの上には、ブッフェ形式の食事が並べられていてどれも美味しそう。





「後ででいいや」


本当は食べたいけどここは食い意地は抑えておきたい所。せっかくの悠生とのパーティーなんだから…




「じゃあとりあえず飲み物だな。ノンアルコールのシャンパンでいいだろ」

「うん」


悠生は近くいたウエイターからキレイなグラスに入ったシャンパンを持ってくると、私に差し出した。ピンク色のシャンパンを口に含むと何とも言えない複雑な気持ちになった。


一般人がこんなパーティーでこんなかわいいドレス着て、それにシャンパンなんか飲んでるなんて…

私には非現実過ぎてまだまだついていけない…





「あ、ちょっと挨拶したい人がいるんだけどいいか?」

「もちろん。誰に?」


シャンパンをほぼ一気に飲み干すと、悠生はフロアの中心にいる優しそうな年配の女性に近づいた。




「理事長。お久しぶりです」

「あら一柳くん。ご無沙汰ね~」


悠生が深々と頭を下げると、その女性はニコッと笑って嬉しそうに言った。




「元気そうじゃない。それになんだか内面も変わった気もするけど違うかしら?」

「…どうでしょうか。自分ではあんまりわかりません」

「いいえわかってるはずよ。私の目は誤魔化されませんからね」

「…本当に理事長には敵いませんよ」


フフフと笑う理事長は悠生の背中をポンポンと叩くと、私に気づいて「こんにちは」と挨拶して来る。
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