生徒会長が私を好きな理由
「そうだったんですか?」


つくば高校の校長先生は男性で理事長よりも少し若いかな。顔覚えたの生徒会に入ってからだけど…




「足を痛めた私をすぐに近くの病院まで連れて行って下さってね…後日お礼をしたくてお食事に誘ったら、その方は県立高校の校長先生をなさってるとわかっての…お互い教育者として会話が弾んだ席で、彼は自分の学校の事で色々悩んでいらしたの。学校行事が全く盛り上がらないってね」


校長先生までもつくば高校の危機を感じていたんだね…あそこまで終わってしまっているとどう手をつけていいのか分からなかったんだろうな。






「その時、一柳くんを送り込む学校はここしかないって思ったのよ…すぐにつくば高校の校長先生にお願いしたら快く承諾して下さって、今日に至るというわけ」

「…そうだったんですね。初めて聞きました。知れて良かったです」


理事長に笑顔を返すと、彼女もまた笑顔になり私の肩に手を添える。





「一柳くんをつくば高校に行かせて本当に良かったと思ってるわ。あの子本当に変わったもの…きっとつくば高校の生徒達とあなたのおかげね」

「…いえ、そんなことは」

「いいえ。あの子は人と深く関わるのを嫌う子よ…なのに後夜祭にあなたを連れてくるなんて……一柳くんにとってあなたはとても特別な子なのね」


理事長のその言葉で恥ずかしくなる私は「いえいえいえ…」と何度も連呼して誤魔化した。



私の方こそ悠生のおかげで色々変われた。

私だけじゃないよ。つくば高校が生まれ変わったのは悠生のおかげだから…






「理事長。ちょっといいですか?」


白学の教師らしき人に呼ばれた理事長は、私の着ているドレスのシワを手で伸ばしながら話しかける。




「あ、はいはい…では私は失礼します。パーティー楽しんでね」

「はい!ありがとうございます」

「それと…一柳くんをよろしくね」


ウィンクして前から去っていく理事長はとても可愛らしくて、彼女の魅力を感じた。また会えたらいいなと思った…



あんな素敵な理事長がいるのに、何で白学ってこんなに問題ばかりある学校なんだろ…

つくば高校よりもここの心配した方がいいんじゃないかな?って…そういえば悠生はどこ行ったの??



キョロキョロと当たりを見渡すと、悠生はタキシードを着た数人の男子に囲まれている。私は恐る恐るそこに近づくと…
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