生徒会長が私を好きな理由
お兄さん達に何度も念を押して言う悠生だが、3人はヘラヘラして聞いてるのか聞いていないのかわからない。

悠生は余計イライラしている様子だ。





「ま、何はともあれ今日は若い2人たっぷり楽しんでよ」


長男の壱誠さんは私に優しく微笑むと私の肩をポンと叩いた。彼を無視するように悠生は私の手を引いてスタスタ歩き出す。そしてパーティーフロアを抜けて外のテラスまで来ると、悠生は私の手を離してイライラしたように頭をかいた。





「ごめん…うちの家族うっとうしくて」

「そんなことないよ。楽しい御家族じゃん」


私からすれば明るくていい家族に見えるけど…悠生からしたらうざったいのかな。





「そんな事より…お前楽しんでるか?無理してるなら早めに帰っても…」

「た、楽しんでるよ!すごく楽しいよっ」


帰るなんて絶対嫌!!と力強く言うと、悠生は優しく笑って私の頭をポンと撫でた。






「ちょっと外してくれ。ここは大丈夫だから」

「かしこまりました」


私達の近くで護衛してくれているボディーガード達に悠生がそう声をかけると、テラスには2人きりになる。近くでは中庭のあの大きな噴水が見え流れ出る水にライトが当たっている。





「綺麗だな…」

「あそこに落っこちたとはとても思えないな」

「あれは忘れてよ~噴水に落ちたのなんて生まれて初めてだったんだからね」


思い出してクスクス笑う悠生を見て怒ると、テラスに私達の声だけが響いた。






「あの時…気がついたら自分も噴水に飛び込んでてお前を助けてたな。今思えばあの時から俺の気持ちは決まってたんだろうな…気づかなかっただけで」

「悠生…」


それって……
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