生徒会長が私を好きな理由
噴水を眺めていた悠生の目線がこっちに移ると、私は釘ずけになったように動けなくなった。

脳からも今は声を出す指令を発していないのがわかる。悠生が何か言おうとしてるってわかったから…






「俺は男として最大のミスを犯した…」

「ミス?」

「…女のお前に先に告白させた事だ」


悠生は唇を噛み締めると後悔しているような表情を浮かべた後で、ポケットに手を入れた。そして…





「普通の恋愛なんてわかんないし、そもそも人を好きになった事なんてなかった。だけど…これが俺のやり方だから…受け取って欲しい…」


悠生はそう言って私に手のひらサイズのきれいな箱を差し出した。黙ってそれを受け取ると「開けて」と素っ気なく言われてそっぽを向かれる。

言われた通りドキドキしながらそれを開けると…





「ぁ…」


箱の中にはキラキラした赤の花のような形をした小さなバッチが入っていて、「副会長」と彫られていた。




「悠生…これ作ってくれたの?」

「あの学校には生徒会バッチがないからな…ちなみに俺とお前のは色違いだ」


自分のボッチを見せてくれた悠生の手のひらには「会長」と彫られた青いバッチで、今私が貰ったものと同じ花の形をしている。




「他のメンバーの分も作ったけど…俺とお前のだけは特別」

「特別って?」

「その花は俺の家の家紋なんだ。つまり…お前は俺専門て事」
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