生徒会長が私を好きな理由
「専門」という言葉を聞いて改めてバッチに目を向けると、それがより綺麗に見えて特別なものに思えてきた。同時に嬉しさがこみ上げて来て目の奥が熱くなる…





「ありがとう…ありがとう悠生!すっごく嬉しい!明日から毎日付けるから…」


全力で感謝の気持ちを伝えると、悠生はこっち手を伸ばして来て私の頭の後ろに回すと自分の方に引き寄せて私を抱きしめる。

突然の事に驚きながらも、悠生の胸がすぐ近くにあってドキドキしてしまう…






「…悠生?」

「いいか?一回しか言わないからよく聞けよ」


悠生がどんな顔をしてるのか気になったけど、胸の鼓動が微かに聞こえてきて私も余計に顔が赤くなる。

貰ったバッチの入った箱を片手で握りしめながら、もう片方の手で悠生の着ているタキシードをそっと握る。積極的な事をしている自分に恥ずかしさを覚えながらも、悠生の話をちゃんと聞きたかった。







「…お前が好きだ」


悠生が私の耳元に口を近づけるとそう静かに呟いた。どちらかというと小さなこえだったけれど、ちゃんと聞こえた。





「ぅ…」


さすがに目から涙がこぼれ落ちる。

恋ってこんなに楽しくて苦しくて…想いが繋がるとこんなに嬉しいんだね…





「普通泣くか…」

「泣くよ普通!」


悠生は困ったように言って私の頭をポンなと撫でた。その優しさにまたうるうるときてしまう…

すると悠生が私のあごに手を添えてまたぐっと私に顔を近づけると、一瞬私の唇に触れるか触れないくらいの軽いキスをした。
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