まだあなたには見えてない
おめでとう
「誕生日おめでとう!」
「ありがとー!」
季節は夏もすこし過ぎた頃。
彼は18歳になった。
同じなんかではないけれど……
「俺が卒業したら、さ」
彼は言った
「……いやなんでもないよ」
昼休みに
いつもと変わらない
日常と、一緒にいたい衝動をかかえている。
「戻るね」と言って部屋を出たとき、
その一瞬に
さよならしてみたかったんだ。
夏もすこし過ぎた頃。