カルテットリバーシ
お昼休み、中庭、緋色、お弁当が、食べ終わった。
いつも通りの風景だけれど、空が少し曇っていて肌寒い気がした。
「平気け?学ラン貸すさ」
衣替え前なのに緋色は学ラン着てて、それを私の肩にそっとかけた。
「あ、ありがとう、でも緋色、寒くないの…?」
普段からあちこち痣だらけで怪我ばかりしてる緋色は夏場でもたまに学ラン持ち歩いてたりして、衣替えなんてあるようで無いような人だった。
「寒いから着てたってわけじゃないさ。首元の痣が結構目立つっけ、詰め襟は便利さ」
Yシャツになった緋色の首を見れば、確かに赤黒い痣が、見ようとしなくても目に入る位置にある。
「…また、喧嘩、した?」
新しく出来たものなのか古いものなのか、私には見てもわからなかった。
「いや、この間のやつさ。ここ、怪我してた時の」
言いながらこめかみを指さされれば、何日か前の喧嘩のものだと知る。
無意識に喧嘩を想像して緋色の学ランをぎゅっと握ってしっかり自分の身を包んだ。
意図しなかったその行動で、私の周り全部が緋色の香りでいっぱいになる。
落ち着く香りにそっと目を閉じた。
「…昨日眠れてないんけ?」
眠そうに見えたのかそう言われて薄く目を開けた。
「ううん、…学ランて、普段着られないから、包み込まれてるみたいでなんだか落ち着くなーって」
だんだん視界がぽわぽわしてくる。
食べたばかりに暖かい上着、昨夜眠れてないかと言われればそれも間違いではなく。
うとうとと緋色の学ランに頬を寄せた。
「…男の上着にそんな無防備なコメントはしちゃいかんさね」
「緋色だから、…平気」
「困った子さね」
言いながらそっと私の肩を抱いた緋色に、驚いて目線を上げた。
これじゃまるで本当に恋人同士みたいだ。
「…緋色っ、い、いいよ、いいよ、こういうのは。私眠くてぽわぽわしてるだけだし、無理にこう、恋人っぽくしなくても平気だし、」
「あ。…そう、さね」
無意識だったのか緋色は私に触れた手をパッとどかした。
いつも通りの風景だけれど、空が少し曇っていて肌寒い気がした。
「平気け?学ラン貸すさ」
衣替え前なのに緋色は学ラン着てて、それを私の肩にそっとかけた。
「あ、ありがとう、でも緋色、寒くないの…?」
普段からあちこち痣だらけで怪我ばかりしてる緋色は夏場でもたまに学ラン持ち歩いてたりして、衣替えなんてあるようで無いような人だった。
「寒いから着てたってわけじゃないさ。首元の痣が結構目立つっけ、詰め襟は便利さ」
Yシャツになった緋色の首を見れば、確かに赤黒い痣が、見ようとしなくても目に入る位置にある。
「…また、喧嘩、した?」
新しく出来たものなのか古いものなのか、私には見てもわからなかった。
「いや、この間のやつさ。ここ、怪我してた時の」
言いながらこめかみを指さされれば、何日か前の喧嘩のものだと知る。
無意識に喧嘩を想像して緋色の学ランをぎゅっと握ってしっかり自分の身を包んだ。
意図しなかったその行動で、私の周り全部が緋色の香りでいっぱいになる。
落ち着く香りにそっと目を閉じた。
「…昨日眠れてないんけ?」
眠そうに見えたのかそう言われて薄く目を開けた。
「ううん、…学ランて、普段着られないから、包み込まれてるみたいでなんだか落ち着くなーって」
だんだん視界がぽわぽわしてくる。
食べたばかりに暖かい上着、昨夜眠れてないかと言われればそれも間違いではなく。
うとうとと緋色の学ランに頬を寄せた。
「…男の上着にそんな無防備なコメントはしちゃいかんさね」
「緋色だから、…平気」
「困った子さね」
言いながらそっと私の肩を抱いた緋色に、驚いて目線を上げた。
これじゃまるで本当に恋人同士みたいだ。
「…緋色っ、い、いいよ、いいよ、こういうのは。私眠くてぽわぽわしてるだけだし、無理にこう、恋人っぽくしなくても平気だし、」
「あ。…そう、さね」
無意識だったのか緋色は私に触れた手をパッとどかした。