カルテットリバーシ
部屋のインターホンを押しても何も応答はなかった。
何度か繰り返し押してみても変わらなくて、ストリートファイトの方、救急車、の文字が頭をよぎって身を震わせた
違う、大丈夫。違う。
言い聞かせるように心の中で唱えながら、何の気無しにドアノブを下へ押した。
ガチャリと音を立てるも、ノブはあっさりと下までおり、そのままドアを引けば重いながらもドアは容易に引けるようだった。
開いてる…?
「緋色…?」
出来たドアの隙間から小さく声を掛けてみる。
中から物音がするでもなく、勝手に人の家を覗いていいものか、きょろきょろと目を泳がせながら。それでも倒れているかもしれないという現実は変わらず、思い切ってドアを開け放ち、玄関に足を掛けた。
「…入る、よ…?」
静かにドアを閉めて靴を脱ぐ。
家主がいるんだかいないんだかわからない部屋にはどす黒く渦巻く不安しか見えず、もし今ドアが開いているのが空き巣か何かのしわざで、中で犯人と鉢合わせて刺されたらどうしようなんて、どうでもいい事まで思い浮かんだ。
怖い。
足が前に進もうとするのを拒む。
手に持った緋色の学ランをただただぎゅっと抱きしめて、一歩ずつ静かに足を進める。途中、バスルームの入り口とキッチンの入り口があるから、ギギギ、と首が音を立てそうなほどにちらちらとだけ目を向けて、誰も居ない事を確認しながら。
目の前、リビング。
二人がけのソファに。
「…緋色…?」
体横たわらせた人影を、見付けた。
何度か繰り返し押してみても変わらなくて、ストリートファイトの方、救急車、の文字が頭をよぎって身を震わせた
違う、大丈夫。違う。
言い聞かせるように心の中で唱えながら、何の気無しにドアノブを下へ押した。
ガチャリと音を立てるも、ノブはあっさりと下までおり、そのままドアを引けば重いながらもドアは容易に引けるようだった。
開いてる…?
「緋色…?」
出来たドアの隙間から小さく声を掛けてみる。
中から物音がするでもなく、勝手に人の家を覗いていいものか、きょろきょろと目を泳がせながら。それでも倒れているかもしれないという現実は変わらず、思い切ってドアを開け放ち、玄関に足を掛けた。
「…入る、よ…?」
静かにドアを閉めて靴を脱ぐ。
家主がいるんだかいないんだかわからない部屋にはどす黒く渦巻く不安しか見えず、もし今ドアが開いているのが空き巣か何かのしわざで、中で犯人と鉢合わせて刺されたらどうしようなんて、どうでもいい事まで思い浮かんだ。
怖い。
足が前に進もうとするのを拒む。
手に持った緋色の学ランをただただぎゅっと抱きしめて、一歩ずつ静かに足を進める。途中、バスルームの入り口とキッチンの入り口があるから、ギギギ、と首が音を立てそうなほどにちらちらとだけ目を向けて、誰も居ない事を確認しながら。
目の前、リビング。
二人がけのソファに。
「…緋色…?」
体横たわらせた人影を、見付けた。