カルテットリバーシ
アプリの入門編のボタンを押して、簡単な説明を読みながらどんどん進んで行く。何を言っているかは何となくわかるけれど、結局どうしたらいいのかなんて素人の私には全然わからないまま。入門編のひとつも理解しないままに、スーパーイージーモードのゲームが始まった。
「…どこに置けばいいのか、わかんないな…」
置けるところを探して置くので精一杯だった私のスーパーイージーモードはヒントボタンを駆使して押してもNPCの圧勝に終わった。
わかんない、どうしたら強くなるんだろう。
全然検討もつかない。
もだもだとしていたらラインの音が鳴って、一度アプリを閉じた。
ふと気付けば窓の外はもうすっかり暗くなっていて、緑君ももう帰るところなのかな、なんて気が付いた。
『今日は勝ったー!んで、今日は絶対喧嘩は行かないように釘刺して来た。多分平気だと思うけど緋色だしなー行っちゃうかもしんないけど』
緑君の嬉しそうな文面は、そのまま声で聞こえてくるみたいだった。
『緑君、オセロ勝ったの、おめでとう。緋色の事、ありがとう』
『美夕はもう帰った?』
『うん、暗くなっちゃう前に、帰ったよ』
ふと、思い立った。
今、緑君と同じアプリをやってたんだよって、言いたかったけれど恥ずかしかったから、さっきのアプリの続きを開いてスクリーンショットを撮ることにした。
その画面は私がスーパーイージーモードで圧勝されたわかりやすい場面。
カシャリ音を立てたその画像を、緑君のトークに貼り付けた。
『あれ、それドルフィンリバーシ?僕もやってるよー!ってーかスーパーイージーで負けるって逆にレアだよ!!』
『美夕ちゃんが、これ、緑君がやってるって教えてくれて、でも私、やっぱり向いてないのか、ダメだったよ』
『あっはは、オセロはちゃんと勉強しないと強くなんないよー入門編理解出来たらちょっと強くなるかも!がんば!』
そう言ってくれたけれども。
やっぱり向いてないなって思ったりもして。
『うん、…緋色が元気になったら、教えてもらう』
なんとなくそう返した。
『そだね』
緑君の返してくれたそのたった3文字の中には「大丈夫だよ」の意味が込められているような気がして。
『…緋色はまだ、落ち着かないのかな』
『うん、まだやめた方がいいかな。相当不安定で、僕いないとあちこち当たり散らしてるみたいだったから。部屋も結構荒れてたよ。元々あいつの部屋、物なんてほとんど無いのに、荒れる方が難しいっつーのね』
私が行って、ちょっとでも手を貸せればいいのに。
待っているだけは、もどかしい。
『そっか。…早く元気になると、いいな』
しゅんと返した私に。
『もうちょい待っててね』
緑君の言葉はあまりに優しすぎて、心の奥まで突き刺さって行く感じがした。
「…どこに置けばいいのか、わかんないな…」
置けるところを探して置くので精一杯だった私のスーパーイージーモードはヒントボタンを駆使して押してもNPCの圧勝に終わった。
わかんない、どうしたら強くなるんだろう。
全然検討もつかない。
もだもだとしていたらラインの音が鳴って、一度アプリを閉じた。
ふと気付けば窓の外はもうすっかり暗くなっていて、緑君ももう帰るところなのかな、なんて気が付いた。
『今日は勝ったー!んで、今日は絶対喧嘩は行かないように釘刺して来た。多分平気だと思うけど緋色だしなー行っちゃうかもしんないけど』
緑君の嬉しそうな文面は、そのまま声で聞こえてくるみたいだった。
『緑君、オセロ勝ったの、おめでとう。緋色の事、ありがとう』
『美夕はもう帰った?』
『うん、暗くなっちゃう前に、帰ったよ』
ふと、思い立った。
今、緑君と同じアプリをやってたんだよって、言いたかったけれど恥ずかしかったから、さっきのアプリの続きを開いてスクリーンショットを撮ることにした。
その画面は私がスーパーイージーモードで圧勝されたわかりやすい場面。
カシャリ音を立てたその画像を、緑君のトークに貼り付けた。
『あれ、それドルフィンリバーシ?僕もやってるよー!ってーかスーパーイージーで負けるって逆にレアだよ!!』
『美夕ちゃんが、これ、緑君がやってるって教えてくれて、でも私、やっぱり向いてないのか、ダメだったよ』
『あっはは、オセロはちゃんと勉強しないと強くなんないよー入門編理解出来たらちょっと強くなるかも!がんば!』
そう言ってくれたけれども。
やっぱり向いてないなって思ったりもして。
『うん、…緋色が元気になったら、教えてもらう』
なんとなくそう返した。
『そだね』
緑君の返してくれたそのたった3文字の中には「大丈夫だよ」の意味が込められているような気がして。
『…緋色はまだ、落ち着かないのかな』
『うん、まだやめた方がいいかな。相当不安定で、僕いないとあちこち当たり散らしてるみたいだったから。部屋も結構荒れてたよ。元々あいつの部屋、物なんてほとんど無いのに、荒れる方が難しいっつーのね』
私が行って、ちょっとでも手を貸せればいいのに。
待っているだけは、もどかしい。
『そっか。…早く元気になると、いいな』
しゅんと返した私に。
『もうちょい待っててね』
緑君の言葉はあまりに優しすぎて、心の奥まで突き刺さって行く感じがした。