拝啓 偽りの君
偽りの仮面
彼女はいつも笑っていた。


どんな時も。









「ねぇ、良くあんなに言われて笑ってられるね。」


彼女は色んな人と仲が良かった。勿論、男子とも仲が良く、そのためか、いじられる事も多かった。



『ブサイク』

『たらこ唇』

『体格が良い』

と容姿や体の事、彼女のテストの点数や、偏差値を授業中に先生に言う事もあった。

彼女は頭が良く、別に晒しても恥ずかしいものでは無いのだが、彼女は日頃のノリの良さからか、馬鹿だと思われているため、いつも『自称』とか『嘘つき』と言われていた。


こう見ると一見、いじめられているように思えるが、彼女自身そんな事は思っていないようで、笑いながら『うるさい』と言っていた。そのため、周りもいじめられている、とは思わず、むしろ楽しんでいると思ってた。



ただ、僕は知っている。

彼女が嫌いな子と話す時の引きつった笑顔を。


本当に嫌な事を言われた時の傷ついた目をした笑顔を、


今にも泣き出しそうなあの笑顔を――
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