拝啓 偽りの君
気付かされた私より
「偽ってるから疲れる?」

初めてだった。私の笑顔を嘘だと言われたのは。私自身も分からなくなっていたのに、君だけは気付いていた。


ただ、大事な事だけは、重要な事だけは君に伝わらない。

気付いてよ。私の気持ちに。

気付いてよ。私の嘘に。

気付いてよ。私の言葉に。

君は今も勘違いしたまま、私がなんでここに居るのか分からないまま、私と一緒に居るのかな。





ずっと前、君が言ったの。
「君と話してると、君の笑顔が嘘か本物か分からなくなるな」
って。

つい最近、君が言ったの。
「悩んでる事は無いか?」
って。

私が無いって答えると、彼は笑顔で良かったって言うけど、知ってるよ。私が居なくなった後、自分を責めた表情になるの。

そういえば、私が困っている事を相談した後もその表情になるよね。


もし、君が昔言った言葉が、今も心にあるとしたら、君は私の笑顔が嘘か本物か分からなくなったって自分を責めているのかな。



だとしたらバカね。

私の笑顔は本物なのに。



困った事があったら自分から言っているのに。


< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop