繋いでくれた歌【完結】
「彼女の声を聞いたら、きっと誰もが忘れることなんて出来ません」
「……」
どこにそんな根拠なんかあるんだろう。
そう思うのに、ケーが言うとどうしてそんな気になるんだ。
「僕は彼女の声でないと嫌なんです。
歌うのは彼女でないと嫌なんです」
そんな言い方。
ただの、ワガママにしか聞こえない。
だけど、ケー。嬉しい。本当に嬉しい。
「今日、ダメだって言われても、例え真史が諦めても、僕は諦めません。
何度だって頭を下げに来ます。
僕は彼女以外嫌なんですから」
「……ケー」
「僕は彼女自身を、彼女の歌声を愛しています。心底、惚れ込んでいます」
「……」
「勝手だってわかってます。僕の夢を叶えられるのは彼女しかいないんです。
そして、彼女の歌手になりたいって夢を叶えられるのも僕しかいないんです」
「お父さん、お母さん。私からもお願いします」
ケーの言葉に、涙が出そうだった。
だけど、それをどうにか我慢しながら私は両親に頭を下げながら続けた。