繋いでくれた歌【完結】



「ひまり、ライブツアーだって」

「え」


ケーの家にいる時。
唐突にケーがそう言ったから、素っ頓狂な声が私から出た。


「……ライ、ブ?」

「うん。来年から全国でライブするって」

「嘘でしょ?」

「まじ」


こんなすぐに決まっていいの?
トントン拍子に様々な事が決まっていく。


幸せだ。
だけど、怖くもあった。


「……」

「喜ばないの?」


ケーが首を傾げながらそう尋ねてくる。
嬉しくないわけがない。


デビュー前はずっと、駅前で歌ってたんだ。
足を止めてくれるのは数人だった。


数ヶ月なのに。
劇的に変わった。



外を歩いていたら声をかけられることもある。
初めて握手を求められた時は、私の方が動揺していた。

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