繋いでくれた歌【完結】
「私は何も変わらないのに、周りが変わって行く。
それが怖い」
そう呟いてから、私は小さく息をつく。
ケーは隣に座って私の肩に頭をちょこんと乗せた。
「僕は変わらない。それに人気になっても、デビュー前と変わらないひまりが僕は好きだよ」
「……」
「ひまりが一曲一曲をどれだけ大事に歌ってくれてるかってのを、僕が一番知ってる。
それはデビュー前からでしょ?」
「うん」
「だから、ひまりの声は皆に届くんだよ」
「デビュー前は誰も足を止めてくれなかった。
私が人気になったのはケーの曲だから。……私の歌声じゃなくても売れたかもしれない」
それはずっと、不安に思っていたことだった。
求められているのは、ケーの曲で。
私の歌声なんかじゃないって。
そんな酷い事、絶対にケーにだけは伝えちゃいけなかったのに。