繋いでくれた歌【完結】
それから数日経ったある日。
私はケーも交えてライブの打ち合わせをしていた。
ずっと黙ったまま、皆の言葉を聞いていたケーだったけど突然口を開いてある提案した。
「ひまりにギターを弾かせてくれませんか?」
「え。ひまりさんってギター弾かれるんですか?」
打ち合わせに参加しているスタッフが驚きながら私に尋ねてくる。
それに私は曖昧に笑うと頷いた。
「曲は≪名前も知らない君へ≫かな」
「えっ」
今度は私が驚く番だ。
その曲を私はカバーして発表はしていない。
「初めてのコンサートの最後に、それをひまりに歌ってもらいたい」
「……ギターはどうなんですか?」
新條さんがケーから私に視線を移すと、冷静な口調で訊いてくる。
確かに、デビューしてからも暇があればギターに触るようにはしていた。
やっぱり弾く事も好きだったから。