繋いでくれた歌【完結】



「弾いてはいますけど」

「そうですか。それならそこはケーにお任せいたします。
よろしいでしょうか」

「え。新條さん」

「なんですか」


サクサクと決まってしまって、私は慌てて新條さんを呼び止めた。
だけど、新條さんは至って普通だ。



「いいんでしょうか」

「いいんじゃないですか?ケーの楽曲なのでケーがそれを使いたいなら自由だと思いますよ。
ギターはちゃんと練習しておいてくださいね」

「はい、それはもちろん」


こうして、ライブツアーの最終日。
私はケーの≪名前も知らない君へ≫を歌うことになった。


それは最終日のみで、DVDにも収録されないみたいだ。


その時、その日だけ。


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