繋いでくれた歌【完結】
開演の時間が近付く。
私はスタッフ達と円陣を組んで、気合いを入れるとステージに向かった。
ケーの作った曲が流れ始める。
それだけで観客が湧くのがわかった。
キャパが凄い多いわけじゃない。
まだまだ私は未熟だ。
それでも、何千人の人が私の歌を待っている。ケーの歌を待っている。
皆に私の歌声をぶつけるよ。
聞いててね。ケー。
高音から入るその曲は、トップバッターにとても相応しい。
完璧である必要なんてない。
私の声が機械に勝てるなんて、今でも思っていない。
だけど、機械に出せない声を出せると私は思ってる。
確信している。
それを、披露していくから。
ありったけの想いを込めて。
私はケーがいる方を見る。
ケーも私を見ていた。