繋いでくれた歌【完結】


開演の時間が近付く。
私はスタッフ達と円陣を組んで、気合いを入れるとステージに向かった。


ケーの作った曲が流れ始める。
それだけで観客が湧くのがわかった。


キャパが凄い多いわけじゃない。
まだまだ私は未熟だ。


それでも、何千人の人が私の歌を待っている。ケーの歌を待っている。


皆に私の歌声をぶつけるよ。



聞いててね。ケー。




高音から入るその曲は、トップバッターにとても相応しい。


完璧である必要なんてない。
私の声が機械に勝てるなんて、今でも思っていない。


だけど、機械に出せない声を出せると私は思ってる。
確信している。



それを、披露していくから。



ありったけの想いを込めて。



私はケーがいる方を見る。
ケーも私を見ていた。

< 121 / 163 >

この作品をシェア

pagetop