繋いでくれた歌【完結】
「それじゃあ、明日からもよろしくお願いしまーす!」
「はい、よろしくお願いします」
私とケーは並びながら、スタッフに挨拶をすると新條さんと共にホテルへと向かう。
新條さんは手際よくタクシーを手配して、私とケーを後部座席へと座らせた。
「今日はどうでしたか?」
助手席に座った新條さんが私にそう尋ねてくる。
「歌い足りなかったです!楽しかったです!」
「そうですか。それは良かったです。明日も気を引き締めてくださいね」
「はい!」
「本当にひまりさんは感情豊かに歌いますね」
「え」
新條さんは助手席から少しだけこちらに顔を向けると、ふっと微笑む。
「普段は無表情で、無愛想だというのに」
「そ、それは新條さんも一緒です!」
「そうだそうだ!真史はもっと笑った方がいいぞ!」
「ケーは黙ってください」
「む」
私に便乗して野次を飛ばしたケーは、すぐに新條さんに睨まれて口を噤んだ。
確かに、新條さんは笑顔が足りないと私も思う。
でも、それは私も同じかもしれない。
ケーといる時は、結構笑ったりしてると思うんだけど。