繋いでくれた歌【完結】


【ひまり。今日はライブ、最終日だね。
ギター楽しみにしてるよ。ライブが終わったら渡したい物があるんだ。】



……渡したいモノ?
何だろう。



【何だろう、楽しみにしてるよ。ケー。
一生懸命歌うから、届くといいな。】



そう返信すると、私は鏡の中の自分を見つめた。
綺麗にメイクアップされた顔と、髪の毛。


去年までは信じられなかった。
駅前で細々と歌っていた。


夢を追い求めて。



このライブツアーは、確実に私の力になっていた。
歌うのが楽しくて仕方ない。


改めて、私は歌うことが好きなんだって思った。



ライブ中、私の両親も見に来てくれたりして、こっちとしては恥ずかしいやら嬉しいやらだ。
そのライブも今日で終わり。


パシンっと両手で頬を叩いて気合いを入れた。
それからスタッフに呼ばれて、返事をするとステージに向かう。



新條さんの姿はなかった。
きっとケーを迎えに行ってるのだろう。

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