繋いでくれた歌【完結】
耳を塞ぎそうになった私に届いたのは。
「……ケーは、生きてます」
思ってもなかった言葉だった。
「……生きてる?」
なのに、どうしてそんなに新條さんは辛そうなんだ。
涙を浮かべて。
「……だけど、その目が開く事はもうないかもしれないです」
「え?」
どういう事。
「脳の損傷が激しいらしくて、一命は取り留めたものの……意識が戻らないらしいんです」
「……」
「目を開けるのは、明日か、一週間後か、一ヶ月後か、一年後か。
それとも、そのまま目を覚ますことなく永遠の眠りに就いてしまうのか。
……医師でもわからないそうです」
「……嘘、でしょ」
「……」
あまりにも衝撃的で、涙なんて出なかった。
ただ、その事実が受け入れられなかった。