繋いでくれた歌【完結】
「ケーは貴方の歌が、好きでした。そして、私も好きです。
最初に貴方に私は言いました。貴方ぐらいの歌のうまさはそこらへんにいるって。
だけど、それを訂正します。ここまで何度も聞きたいって思ったのは初めてでした。
私はケーと貴方のマネの前に、二人のファンなんです」
「……し、んじょ…」
「でも、私以上にケーは貴方のファンなんです。
その貴方が、自分の所為で歌えなくなるなんて…きっと、悔しがります」
「……」
「凄く酷な事を言ってるのはわかってます。
いつ目が覚めるかわからないケーの曲を、歌い続けるのは貴方を苦しませる」
「……」
「でも、目が覚めた時……貴方が歌うのをやめてたらケーは苦しむと思います。
お願いです、ひまりさん。歌ってください」
そんなの、今考えられないよ。
それでも。
私の答えなんて、きっとわかりきっている。
でも、ケーが側にいないのに。
ケーはもう名前を呼んでくれないかもしれないのに。
なのに、ケーの曲を歌わなくちゃいけないなんて。
笑顔でなんか歌えない。
楽しくなんか歌えない。