繋いでくれた歌【完結】
「……む、りです」
『……』
私のその言葉で新條さんは黙り込む。
「その曲だけは、歌えません」
他のどれを歌うことが出来たとしても。
「すみません」
『いえ、謝る必要はありません。……こちらこそ、すみませんでした。
まだする話ではなかったですね』
「新條さんが悪いわけじゃないです。私の気持ちの問題です」
『そうですね。だけど、私はずっと待ち続けますよ。
貴方の歌声を』
「……はい」
『では、失礼します』
通話を終えた私は、ゆっくりと目を閉じた。
“……今なら僕、運命って言葉信じるよ”
ケー。私も信じたよ。
でも、肝心の……ケーがいないよ。
愛してるって、言ってよ。ケー。