繋いでくれた歌【完結】
足が地面に張り付いてしまったかのように動かない。
そんな私の肩をぽんっと叩くと新條さんは、腕を掴み引っ張っていく。
パソコンの前に座らせて、電源ボタンを押した。
起動画面の後にパスワードを入力する小窓が現れて、私は新條さんを見る。
新條さんは何も言わずに、キーボードに手を伸ばした。
その、パスワードを目で追う。
入力を終えて、エンターを押すと画面が切り替わる。
それを見ていた私からは声が勝手に漏れた。
「……バカ、みたい。ケー」
「それだけ貴方が好きって事ですよ」
ケーのパソコンのパスワード。
≪aishiteruhimari≫
どれだけ、私のことを想ってくれてたんだろう。
胸が痛くて仕方ない。