繋いでくれた歌【完結】

「USB貸してください」

「……はい」



私はポケットから取り出すと、新條さんに手渡した。
新條さんはケーブルに差し込み、また操作を始める。



カチっと開いた窓。



たくさんのタイトルらしきものが書かれたフォルダ名。
だけど、一番上の左にあったフォルダ名。


そこには≪ひまりへ。≫と書かれてあった。


それを見て心臓が大きく跳ねた。



「開けてください」




そう促され、マウスを渡される。
私は震える手で、そのフォルダをクリックした。




カチ。

そう、マウスが音を立てる。


フォルダが開いた瞬間、聞こえた声。



「愛してるよ、ひまり」



それはケーの声ではなかった。合成音声。
だけど、確実にケーが私の為に作った声。




「……」

「他も、開いてください」


私は無言で他のフォルダも開く。



その瞬間、流れ始めたのは。





―――――――――ケーの音楽だった。

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