繋いでくれた歌【完結】
「だけど、その全てを貴方に捧げると言って発表する事をしようとしない」

「……え」

「他の人には歌わせたくないとね。
だから、貴方が彼のオファーを受け入れてくれないと困るんですよ」

「……そんなの、私の所為じゃないです」

「そうだけど、素晴らしい彼の曲が未発表のまま埋もれてしまうのは、君も惜しいと思いませんか?」

「……」

「始まりはボカロだけど、彼の楽曲は素晴らしくて、今様々なメディアに取り上げられています。
ボカロpとしてでなく、作曲者として曲を提供したりもしてるんです。
だけど、貴方に出会ってからはその全てを断っている」



そんなの知らない。

私には関係のない事だ。



黙ったまま、無反応の私にちらっと視線を寄越すと、新條さんはふっと口角を上げて微笑む。



「それに、君にとっても悪い話じゃない」


……何?
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