繋いでくれた歌【完結】
「私には歌えません」
「はあ」
新條さんは何とも歯切れの悪い返事をする。
それから、口を開いた。
「貴方はどれだけの人が夢破れ、泣いてると思ってるんですか?」
「……」
「その貴方に訪れたとんでもないチャンスですよ。
それを棒に振るだなんて、そういう人を侮辱してます」
「……」
「ハッキリ言いましょう。貴方ぐらいの歌のうまさなら探せばどこにだっています」
「!」
ズキっと胸が痛む。
ギターケースを握り締める手に力が入った。