繋いでくれた歌【完結】
「まあ…、こう言いましたが、いくらケーが貴方を推してもこちらが売れないと判断したらデビューはさせないですけどね」
「っ!」
「当然です。私達は慈善活動をしてるわけじゃない。
これは仕事です。商売なのですから」
「……」
至極、当然な事だ。
売れなければ捨てられるのなんてわかってる。
だから、今まで“私はデビュー出来なかった”んだ。
「なので、博打と思ってやるだけやってみたらどうでしょうか?」
「……」
「さ。到着しました」
「え」
ケーの家は豪華なマンションとか、そんなんじゃなかった。
質素な二階建てのアパート。
車から降りて、そのアパートをまじまじと見つめてしまう。
「驚きました?ケーはデビュー前からずっとここに住んでるんです。
彼にとって音楽活動以外は興味ないんですよ。まあ、セキュリティ的に私は引っ越しを勧めてるんですけどね」
さ、と言いながら新條さんが部屋へと案内してくれた。
その後ろに付いて行く。
一階の一番奥がケーの部屋。
電灯が点滅していて、不気味だ。
本当にここに住んでいるのだろうか。