繋いでくれた歌【完結】
「これさ、ひまりの為に書いた。歌ってみて」
ハイと、渡されたのはどうやらこの曲の歌詞みたいだ。
乱雑に書かれてて何を書いてるのか、認識するのが難しい。
そして、再度最初から曲を流すケー。
単調であるのに、飽きさせないメロディ。
私は自然と声に出していた。
一音一音、丁寧に歌う。
歌詞を見ながら、しっかりと。
――――――一小節歌い終えた私の瞳からは涙が一筋流れていた。
私の為に用意されたかの様な、そのメロディは初めて聞いたのに、初めて聞いた感じがしなかった。
何で、こんなにも歌いやすくてマッチしているのだろうか。
こんなにも歌に求められてる。
そう、思ったのは初めてだった。
「ね。ひまりの為に書いた曲でしょ?」
信じてくれた?と、微笑むケー。
私は涙を拭いながら小さく頷いた。