繋いでくれた歌【完結】
「ひまりを思うと、素敵な音楽しか流れて来ないや」
「っ」
「僕、ひまりなしじゃ生きていけそうにない」
くしゃりと破顔させて、そんな甘い言葉を呟くケー。
きっと、彼は素直に正直に思った事を口にしただけであって、どんな意味がその言葉にあるかなんてのは考えてもない筈だ。
私は彼にとって、なくてはならない存在。
それは、歌い手として。
その時、ガチャリと玄関の扉が開く音がした。
新條さんが戻って来たらしい。
「ああ!また寝ていないじゃないですか!ケー!」
パソコン前に座ってるケーを見た新條さんが、目を吊り上げる。
それに、私とケーは顔を見合わせて笑った。
「笑い事じゃありません。ハイ、横になる。それと、台所勝手に借りますからね」
「新條さんが作るんですか?」
ケーを寝かせた後、あたかもそれが当たり前かの如く、台所に立つ新條さんを見て目をぱちくりとさせた。