繋いでくれた歌【完結】
「そうです。ケーは食事とか疎かにするので、私が作らないと平気で抜きますから」
「……」
「そうだ!」
新條さんはポンっと何かを思いついた様に、手を打つ。
嫌な予感しかしない。
「貴方、ケーに食事を作ってあげてくれませんか?」
やっぱり。
自炊なんて出来ないし、してない。
無理に決まってる。
「無理です」
「ほら、曲の練習とかそれも兼ねて」
それらしい理由をつけて、厄介事を押し付けてるのがありありとわかる。
新條さんはニコニコしてるけど、その笑顔は黒い。
「ひまりが食事?作ってくれるの?嬉しいなあ」
もう少し人を疑って欲しい。
鵜呑みにして、そんな無邪気に喜ばないでくれ。
「ケーもこう言ってる事ですし」
「……バイトあるんで、毎日は来れないですよ」
「ない時でいいじゃないですか」
どうしても食事担当を私に代えさせたいらしい。
はあっと溜め息をつくと、渋々頷いた。