繋いでくれた歌【完結】
「襲っちゃダメですよ」
「……襲いません!!!」
「ならいいですけど」
ふっと不敵に微笑むと、新條さんは今度こそ部屋から出て行った。
襲うって何だ!
逆でしょうが!襲われるでしょ!!
いや、そんな風に想ってたら二人きりになんてさせないか。
はあっと溜め息をついてから、私は寝てるケーの顔を見る。
少しだけ汗を掻いている彼は寝苦しそうに、一度寝返りを打った。
熱が下がらないとか、どんだけこの人は自分の体を蔑ろにしてるんだろうか。
彼にとっての優先順位はきっと、音楽なんだろうな。
自分の体よりも。
そっと、彼の手に触れた。
熱を持った手。
私の手はひんやりとしてるのか、一瞬うぅんという呻き声をあげる。
だけど、弱々しくもきゅうっと私の手を掴んだ。