繋いでくれた歌【完結】
パッと顔を俯かせると、ケーがこっちを覗き込む。


「あ、まさか…ご飯作りに来てくれたの?」


どうやらスーパーの袋に気付いたらしい。
私はコクリと頷いた。


「って、もしかして長い事ここにいた!?」


そう言うと、ケーは私の手を無理矢理掴む。
ケーの手は温かかった。


「冷たっ!!ひまりが風邪引いちゃうじゃん!
連絡してくれたら…って、そっか、僕気付かないから。ごめん。とにかく中に入って」


一人で慌てるケーは私を中に押しやると、扉を閉めた。


「……お邪魔します」

「はいっ」

「お腹空いてるよね?」

「うん。それなりに」

「食べなくちゃダメだよ?」

「努力はしてるんだよ」



空腹より作曲優先ってどんなだよ、って思う。
だけど、そこまで打ち込めるものがあるってどんなに素敵なんだろうか。

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