繋いでくれた歌【完結】
「あ。そうだ」
ケーは何かを思い出したのか、突然机の引き出しを開ける。
そして、私の手に握らせた。
「はい、これ鍵。持ってていいから」
「え」
「僕、あまり外に出ないし。僕のは真史にでも作らせるから気にしないで」
この家に住んでる本人が持ってないってどうなの。
私は目をぱちぱちさせながら、手の平に乗った鍵を見つめる。
「ひまりが持ってて。それで、僕に会いに来て」
「……」
「いつ来ても構わないから」
優しく微笑んだケー。
人懐っこい笑顔を見せるから、私は慌てて顔を逸らした。
「ありがと。ご飯作る」
「ん。待ってる」
私はポケットに鍵を突っ込むと、立ち上がりキッチンへと向かった。
気持ちを落ち着かせるように、一度深呼吸をすると食材を切っていく。
オムライスはすぐに出来上がった。